現在進行形の研究の簡単な紹介
現在、毒性学教室で行っている研究の一部について、簡単に紹介いたします。
化学物質に対する生体防御システムの進化と種差に関する研究
生物は体に悪い物質から自信を守るシステムを進化させて来ました。
この防御システムには、シトクロムP450を始め、様々なタンパク質が関与しています。化学物質が様々な生物にどのような影響を与えるのかを知るには、これらのタンパク質について詳しく知る必要があります。
本研究室では、ライオンやトド、オオワシやオジロワシ等の汚染物質の蓄積が懸念されている肉食動物、エゾジカやバク、キリン、ゾウといった植物毒にさらされている動物、ウシやウマ、ニワトリといった産業動物、カエルやイモリなど半水生で汚染物質の影響を大きく受ける可能性がある両生類、さらに脊椎動物が共通して持つ防御システムがどの様に進化してきたのかを探る上での鍵となる脊索動物、これら様々な動物の防御機構分子種の研究を行っています。
アフリカで進行する環境汚染の動物およびヒトに及ぼす影響の解明
アフリカに対するイメージはどのようなものでしょうか。一面に広がるサバンナ、その中に棲むライオン、ゾウ、キリンやカバなど多くの野生動物に溢れた未開の大陸。
確かにそのような面もありますが、その一方で、現在アフリカにおいても急速な開発に伴う環境汚染問題が深刻となりつつあります。実際に環境汚染の影響は起こっているのでしょうか。私たちの研究では、アフリカにおける土壌や魚をはじめとして、カバやワニ、野生鳥類などの野生動物や家畜およびヒトに対する環境汚染物質の影響について調査し、汚染源の推定や対策指針を構築することを目的としています。
現在、さまざまなアフリカ諸国において、現地の研究者やスタッフ、そして各地域での地元の方の協力のもと調査・研究を進めています。対象国としては、10ヶ国以上(ザンビア、ジンバブエ、ナミビア、ボツワナ、南アフリカ、ガーナ、エチオピア、エジプト、ナイジェリア、カメルーン、タンザニア、ケニア、ウガンダ、スーダン)の研究機関と共同研究を展開しています。